電力広域的運営推進機関(OCCTO)は2026年8月26日、北海道で同年6月に実施された、送電線の混雑による再生可能エネルギー発電設備の出力抑制について、妥当だったとする検証結果を公表しました。対象となった66kV富川線・岩松線では、6月1日から30日まで毎日、いずれかの送電線で抑制が実施されています。発電所を計画する際は、年間発電量だけでなく、接続する系統で電気を送り出せない時間が生じる可能性も収支へ織り込む必要があります。本記事は2026年8月28日時点の公表情報を基にしています。
北海道の一部送電線で6月の全30日に抑制
OCCTOの公表によると、66kV富川線では6月1日から30日まで、66kV岩松線では平日を中心に出力抑制が実施されました。検証では、流通設備の混雑が見込まれたために行われた今回の抑制は妥当と判断されています。
ここで注意したいのは、北海道全域のすべての太陽光発電所が30日間止められたという意味ではないことです。対象は特定の送電線の混雑に関係する発電設備であり、実際の指令時間や抑制量は日ごと、発電所ごとに異なります。『北海道では毎日、太陽光が止まった』と一般化するのは正確ではありません。
系統制約と需給バランス制約は理由が異なる
再エネの出力抑制には、大きく分けて二つの理由があります。一つは、エリア全体で発電量が需要を上回るなど、電力の需給を一致させるための需給バランス制約です。もう一つは、特定の送電線や変電設備へ流せる電力を超えるおそれがある場合の系統制約です。
今回公表された富川線・岩松線の事例は後者です。エリア全体に需要があっても、発電所から需要地へ運ぶ経路が混雑すれば、その地点の発電を抑える必要があります。発電所の事業性を見るときは、エリア名だけでなく、接続地点と上位系統の条件まで確認する必要があります。
発電量予測だけでは売電収入を読めない
太陽光発電所の収支計画では、日射量、設備容量、劣化、出力制御、所内消費、出力抑制などを踏まえて売電可能量を見積もります。シミュレーション上の発電量が同じでも、抑制される時間が増えれば、実際に売電できる電力量は減ります。
ただし、今回の公表結果だけから、北海道の発電所へ一律の抑制率を置くことはできません。候補地点の接続検討回答、一般送配電事業者が公開する系統情報、過去の抑制実績、出力制御ルールを個別に確認し、複数の前提で収支を比較することが重要です。
- ✓接続地点と上位系統の空き容量・混雑状況
- ✓ノンファーム型接続など適用される接続条件
- ✓過去の出力抑制日・時間・電力量
- ✓抑制を織り込んだ売電量と感度分析
- ✓FIP・PPAなど電力販売契約上の扱い
- ✓オンライン制御に必要な機器と通信条件
蓄電池併設は対策になり得るが、自動的に解決しない
太陽光に蓄電池を併設し、発電できる時間に充電して、送電可能な時間へ放電できれば、抑制されるはずだった電力の一部を別の時間へ移せる可能性があります。電力価格の時間差を活用した運用や、出力変動の平準化と組み合わせる設計も考えられます。
一方、抑制指令時に充電できる設備構成か、蓄電池にも同じ系統制約が及ぶか、放電できる時間と電力価格、充放電損失、容量劣化、連系容量、追加工事費を確認しなければ効果は判断できません。蓄電池を置けば抑制分をすべて回収できるわけではなく、30分単位の発電・抑制・価格データを使った運用試算が必要です。
新設だけでなく既設発電所も運用データを確認する
新設案件では、接続検討の回答を受け取った後に、抑制条件を収支モデルへ反映します。土地や設備価格が有利でも、系統条件によって売電可能量が変わるため、接続地点を確定する前の確認が欠かせません。
既設発電所では、発電実績、出力制御指令、PCSの稼働記録、売電明細を突き合わせます。想定より発電量が少ない場合、日射や故障だけでなく、抑制の影響を分けて確認することで、蓄電池併設、運用変更、設備改修を検討するための材料になります。
系統条件を把握してから、蓄電池の役割を決める
今回の結果は、再エネ事業では『どれだけ発電できるか』と同じくらい、『発電した電気をいつ、どこまで送り出せるか』が重要であることを示しています。まず接続条件と抑制実績を確認し、売電量が変動した場合の収支を試算することが出発点です。
そのうえで、抑制電力の活用、価格差取引、需給調整市場、容量市場など、蓄電池に担わせる役割を分けて検討します。複数の収益を想定する場合も、同じ時間・同じ容量を二重に計上せず、連系条件と運用制約を反映した計画にすることが重要です。系統制約が顕在化する地域では、太陽光と蓄電池を別々に考えず、接続・制御・電力販売まで一体で比較する価値が高まっています。
POINT
この記事のまとめ
北海道の一部送電線では、2026年6月の全30日に系統混雑を理由とする出力抑制が実施されました。これは北海道全域の発電所が毎日停止したという意味ではありません。発電所の計画・運用では、接続地点、抑制実績、売電契約を確認し、抑制を織り込んだ収支を試算することが重要です。そのうえで、太陽光と蓄電池を一体で設計することで、抑制電力の活用や売電時間の調整が可能かを検討してください。
蓄電池併設について相談する
候補地の接続条件、発電データ、出力抑制の実績を確認し、蓄電池の設備構成と接続・改造範囲を整理します。条件が固まった案件は、詳細設計まで対応します。
- ✓既設太陽光への蓄電池併設
- ✓新設時の太陽光・蓄電池一体設計
- ✓受変電・基礎・配線を含む工事範囲の整理
参考にした一次情報
本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
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