FIP(Feed-in Premium)は、再生可能エネルギーの発電事業者が市場などで電気を販売し、その売電収入にプレミアムを加える制度です。日本では2022年4月に始まりました。FITのように固定価格で電気を買い取る仕組みとは異なり、売り方と市場価格によって収入が変わります。FIP、FIT、PPA、自家消費は同じ太陽光の話に登場しますが、制度・契約・設備利用という別の軸です。本記事は2026年8月28日時点の制度を基に整理しています。
基準価格そのものが、発電電力の固定買取価格になるわけではありません。
FIPは『市場で売る収入+プレミアム』
FIPでは、発電事業者が卸電力市場や相対契約などで電気を販売します。その売電収入とは別に、基準価格と参照価格の差を基礎として算定したプレミアムが交付されます。参照価格は市場価格に連動し、1か月単位で見直されます。
基準価格は、発電した電気の総額を固定的に買い取る価格ではありません。実際の収入は、電気をいくらで売れたか、どの時間に発電したか、プレミアムがいくらだったか、インバランスや取引に伴う費用をどう負担したかで変わります。
FITとの違いは、電気の売り方と価格変動
FIT(固定価格買取制度)は、一定の要件を満たす再エネ電気を、定められた調達価格と期間で買い取る仕組みです。発電事業者にとって売電単価を見通しやすい点が特徴です。
FIPでは発電事業者が市場を意識して電気を販売するため、需要が高く価格が上がる時間へ発電や蓄電池の運用を合わせる動機が生まれます。一方で、発電量の予測、売電先の確保、計画値と実績値の差への対応が必要です。実務ではアグリゲーターへ市場取引や需給管理を委ねる形もあります。
- ✓FIT:定められた価格・期間での買取が基本
- ✓FIP:市場などでの売電収入にプレミアムを加える
- ✓FIPでは売電価格、予測、インバランス、取引費用も収支へ入れる
基準価格と参照価格を混同しない
基準価格はプレミアム算定の基準となる価格です。参照価格は、市場価格などを踏まえて算定される価格です。この差を基礎にプレミアム単価が決まります。市場価格が変われば参照価格も動くため、プレミアムだけを固定収入として置くことはできません。
制度の算定には、市場価格だけでなく非化石価値やバランシングコストに関する要素も含まれます。事業収支を作る際は、制度の概念図だけで金額を置かず、対象年度・電源区分の公表資料と実際の売電契約を確認してください。
定められた価格・期間での買取が基本
売電収入にプレミアムを加える
需要家と発電事業者などの契約
発電した場所で電気を使用する
PPAは制度ではなく、電気を買う契約
コーポレートPPAは、企業や自治体などの需要家が、発電事業者から再エネ電気や環境価値を長期で調達する契約です。FIPが国の支援制度であるのに対し、PPAは当事者間の契約です。両者を同じ意味で使うことはできません。
FIPを活用する発電設備がPPAを組み合わせる場合もありますが、契約形態、環境価値の帰属、プレミアムの扱い、制度要件は案件ごとの確認が必要です。『FIPかPPAか』という二者択一ではなく、制度利用と売電契約を別々に整理します。
自家消費太陽光は、買わずに済む電気から考える
工場・倉庫の屋根に設置し、発電した電気を施設内で使う自家消費太陽光では、主な経済価値は電力会社から買わずに済む電気です。昼間の使用量、契約メニュー、発電と需要の一致、余剰電力の扱い、屋根・キュービクル工事を基に検討します。
そのため、FIPの基準価格や入札価格と、電気料金明細の1kWh単価をそのまま比べることはできません。電気料金には基本料金や燃料費調整、再エネ賦課金などがあり、自家消費で回避できる範囲は契約と使用状況で異なります。
FIP事業を検討するときの確認項目
FIP案件では、認定区分と基準価格だけでなく、発電量と出力制御、系統連系、売電先、アグリゲーター、インバランス、非化石価値、運用費、資金調達まで一つの収支表へ入れます。蓄電池を組み合わせる場合は、充放電損失、劣化、制御、他市場との運用競合も確認します。
制度は年度や電源区分で条件が変わります。検討時点の認定要件、価格、申請期限、契約条件を一次情報で確認し、制度変更と個別案件の条件を分けて判断してください。
- ✓対象電源・出力区分と認定要件
- ✓基準価格、参照価格、プレミアムの前提
- ✓発電量、出力制御、系統連系費
- ✓売電先・アグリゲーターと手数料
- ✓予測誤差とインバランスの負担
- ✓環境価値の帰属と契約条件
- ✓設備費、運用費、資金調達を含む感度分析
POINT
この記事のまとめ
FIPは固定価格での買取ではなく、市場などでの売電収入にプレミアムを加える制度です。FITは買取制度、PPAは電力購入契約、自家消費は発電した電気の使い方であり、同じ軸ではありません。制度価格だけで判断せず、売電・需給管理・設備・系統・契約を合わせて事業性を確認します。
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本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
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