電力広域的運営推進機関(OCCTO)が2026年8月24日に公表した太陽光第29回入札は、募集容量115,405.5kWに対し、落札8件・合計38,204kWでした。加重平均落札価格は8.89円/kWhで、前回の6.74円/kWhから上昇しています。ただし、この数字だけを見て『大型太陽光の採算ラインが8.9円まで上がった』と判断するのは早計です。落札容量の約8割を1案件が占めるため、平均価格はその案件の影響を強く受けています。本記事は2026年8月28日時点の公表情報を基に整理しています。
落札容量38.2MWのうち、29.9MW(約78%)を大型1案件が占めました。加重平均8.89円/kWhは、この案件の影響を強く受けています。
第29回は8件・38.2MWが落札
今回の対象は、出力250kW以上のFIP太陽光です。供給価格上限額は9.60円/kWh、募集容量は115,405.5kWでした。入札参加資格の審査へ提出された事業計画は13件・87,662kWで、このうち12件・87,262kWが入札可能と通知されています。実際に応札したのは8件・38,204kWで、全件が落札されました。
最低落札価格は5.30円/kWh、最高落札価格は9.48円/kWh、加重平均は8.89円/kWhです。募集容量に対する落札容量は約33%にとどまり、入札可能と通知された容量と実際の応札容量にも約49MWの差があります。
- ✓募集容量:115,405.5kW
- ✓入札可能:12件・87,262kW
- ✓応札・落札:8件・38,204kW
- ✓最低5.30円/最高9.48円/加重平均8.89円(1kWh当たり)
平均8.89円は市場全体の採算ラインではない
落札容量38,204kWのうち、29,900kWを落札価格9.48円/kWhの1案件が占めています。容量ベースで約78%です。加重平均は案件数ではなく容量を重みにして計算するため、大型案件の価格に強く引っ張られます。
残る7案件の価格分布や規模を無視して、8.89円/kWhを一般的な事業の必要価格と置くことはできません。入札結果を見るときは、平均値と同時に、最低・最高価格、落札案件の容量構成、募集量に対する応札量まで確認する必要があります。
今回の焦点は価格より参加量
前回の第28回入札の加重平均落札価格は6.74円/kWhでした。今回は2.15円/kWh上昇しましたが、案件構成が異なるため、単純な時系列比較だけでは市場全体のコスト上昇を示せません。
むしろ注目したいのは、募集容量115.4MWに対して応札が38.2MWだったことです。入札資格を得ながら応札しなかった案件もありますが、その理由は公表されていません。資材価格、系統条件、開発進捗、資金調達など、特定の要因へ結び付けて説明することはできません。確認できるのは、今回の条件下で応札へ進んだ容量が募集量を大きく下回ったという事実です。
EPCと発電事業者は価格以外を分解して見る
太陽光発電所の事業性は、モジュールやPCSの価格だけでは決まりません。土地、造成、系統連系工事、発電量、出力制御、保守、資金調達、電力販売を含め、案件ごとのキャッシュフローで判断します。FIPの落札価格が同じでも、連系負担や工事条件が違えば採算は変わります。
EPCが案件を評価する場合も、落札価格だけから受注余地を判断せず、認定出力、連系時期、造成範囲、機器仕様、出力制御の想定、売電先・アグリゲーター、資金調達条件を確認します。入札参加量が振れる局面ほど、案件ごとの成立条件を分けて見ることが重要です。
FIP・コーポレートPPA・自家消費は収益設計が違う
FIPは、発電事業者が市場などで電気を販売し、その売電収入にプレミアムを加える制度です。コーポレートPPAは需要家との電力購入契約であり、自家消費太陽光は施設内で使う電気の購入量を減らす考え方です。三者は比較する数字と契約関係が同じではありません。
工場・倉庫の屋根を使う自家消費やオンサイトPPAでは、昼間需要、電気料金、屋根・受変電設備、契約期間を基に判断します。FIP入札の8.89円/kWhを、そのままPPA単価や自家消費の価値と比較しないでください。次回の第30回も、落札価格だけでなく応札容量と案件構成を追う必要があります。
POINT
この記事のまとめ
太陽光第29回入札の加重平均8.89円/kWhは、29.9MWの大型1案件の影響を強く受けています。市場全体の採算ラインとみなさず、募集115.4MWに対して応札・落札が38.2MWだった参加量、案件構成、個別の事業条件を合わせて読むことが重要です。
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本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
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