同時市場とは?JEPXと需給調整市場を一緒に約定する仕組み

同時市場とは何かを、JEPXの電力kWhと需給調整市場の調整力ΔkWの違いから解説。蓄電池のSOC、入札、収益計画で変わり得る点と、現時点で未確定の論点を整理します。

同時市場は、電気そのものと、需給のずれに備える調整力を一緒に取引し、約定させるために検討されている市場です。現在のJEPXと需給調整市場を単に一つの画面へまとめる話ではありません。発電機や蓄電池の制約を見ながら、どの設備に電力供給と調整力を割り当てるかを同時に計算する考え方です。現行市場との違いと、蓄電池の投資判断で注意したい点を整理します。最終確認日:2026年9月15日。

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まず、kWhとΔkWを分けて考える

JEPXのスポット市場などで取引するkWhは、一定時間に実際に供給する電気の量です。一方、需給調整市場で取引するΔkWは、指令が来たときに出力を増減できる余力です。電気を出した実績と、すぐ動ける状態を確保することは、似ているようで別の価値です。

現在は、この二つが別々の市場で取引されています。同じ発電機や蓄電池を両方に使う場合、電力を売り切って調整余力が残らない、あるいは調整力を確保しすぎて電力販売の機会を逃すといった配分の問題が生じます。

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同時市場は、二つの価値をまとめて配分する

OCCTOは同時市場を、現在は卸電力取引所と需給調整市場でそれぞれ取引されている電力kWhと調整力ΔkWを、同時に取引し約定させる市場と説明しています。需要を満たしながら必要な調整力も残せるよう、複数の電源や蓄電池をまとめて計算する構想です。

たとえば、ある時間に蓄電池を1MW放電できるとしても、その全量を電力販売へ回すと上げ調整力は残りません。同時市場では、価格だけでなく、設備の出力、起動特性、系統制約などを踏まえ、電力供給と調整力の組み合わせを決める考え方が検討されています。

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JEPXと需給調整市場がすぐ廃止される話ではない

同時市場は検討中の将来制度です。2026年9月15日時点で、詳細な入札方法、約定ロジック、価格算定、精算、システム要件のすべてが確定したわけではありません。名称だけを見て、既存市場が直ちに統合される、運用開始日が決まったと受け取るのは早計です。

2026年9月14日の検討会では、2026年度末までの結果提示を前提とした技術シミュレーションを実施しない方針が示されました。これは制度の中止決定ではありませんが、本番に近い約定処理をいつ、どの条件で検証するかは改めて整理されます。

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蓄電池ではSOCが約定と収益を左右する

蓄電池は発電機と違い、充電残量であるSOCに上限と下限があります。放電して電力を売ればSOCは下がり、下げ調整力として充電するには空き容量が必要です。同じ出力の設備でも、その時間のSOCによって提供できる価値が変わります。

検討資料では、蓄電池の充放電効率、蓄電量の上下限、開始時と終了時の蓄電量を計算へ入れる考え方が示されています。ただし、市場側がSOCを最適化するのか、事業者が運用計画を提出するのか、小規模設備をどう扱うのかは確定事項ではありません。

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同時市場になれば収益が増える、とは限らない

電力と調整力を同時に配分できれば、設備全体の効率的な運用につながる可能性があります。一方で、個別の蓄電所の収益が必ず増えるわけではありません。約定価格、精算方法、系統制約、競争状況、SOCの責任分担によって結果は変わります。

収支計画では、現行のJEPX、需給調整市場、容量市場に基づくケースを基本にし、同時市場導入後の試算は別ケースに分けます。将来制度の想定だけで返済計画や長期収益保証を組むと、制度変更時の差が大きくなります。

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発注前に固定する設備条件、残しておく運用条件

設備側では、連系条件、PCS出力、使用可能容量、充放電効率、劣化保証、温度管理、騒音、消防、保守を先に固めます。これらは市場制度が変わっても、蓄電所を安全に動かすための土台です。

一方、EMSの入札連携、SOCの設定、外部システムとの通信、データ保存、精算対応は、制度変更に合わせて改修できる余地を残します。運用委託契約では、仕様変更や追加試験が必要になったときの費用負担、対応期限、再協議の方法まで確認します。

POINT

この記事のまとめ

同時市場は、電力kWhと調整力ΔkWを同時に約定し、設備の使い方をまとめて配分する構想です。蓄電池ではSOCと入札方法が重要になりますが、詳細ルールは検討中です。投資計画は現行制度を基本に作り、将来制度の収益は別ケースとして扱ってください。

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