丸紅新電力、FIP太陽光+蓄電池を需給調整市場へ|併設型が実運用段階に

丸紅新電力がFIP太陽光発電所の併設蓄電池で需給調整市場への調整力提供を開始。卸電力市場との使い分け、EMS・計量・通信、収益試算と設備設計の確認点を解説します。

丸紅新電力など4社は2026年8月31日、FITからFIPへ移行した太陽光発電所の併設蓄電池について、一般送配電事業者による需給調整市場の参入審査に合格し、8月から調整力の提供を始めたと発表しました。出力制御時の電気をためて別の時間に売るだけでなく、卸電力市場と需給調整市場を組み合わせる運用です。FIP太陽光と蓄電池の併設が、設備導入から実際の市場運用へ進んだ事例として、設計・見積段階で確認したい点を整理します。本記事は2026年9月1日時点の公表情報を基にしています。

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2026年8月から調整力を提供。発表だけでなく参入審査を通過

今回の設備は、みずほ証券がアレンジャーを務めるSPCが保有する太陽光発電所に蓄電池を併設したものです。一般送配電事業者の指令システムとの接続と、指令に対する応動性能の審査に合格し、2026年8月から需給調整市場で調整力を提供しています。発電所や蓄電池の出力・容量、設置地域、参加商品、投資額は公表されていません。

『蓄電池を設置した』『市場参入を検討する』という段階ではなく、指令への応動を確認して実運用を始めた点が重要です。一方、参入審査への合格は、一定の収益や約定量を保証するものではありません。

  • 発表日:2026年8月31日
  • 調整力提供開始:2026年8月
  • 状態:一般送配電事業者の参入審査に合格し運用開始
  • 最終確認日:2026年9月1日
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出力制御時に充電し、卸市場と需給調整市場へ使い分ける

公表された運用では、出力制御が行われる時間帯に太陽光の電気を蓄電池へ充電し、電力の供給量が少ない時間帯に放電します。これにより、抑制されていた電気を別の時間帯の売電へ回します。さらに、蓄電池の充放電能力を需給調整市場へ提供し、周波数維持に必要な調整力として使います。

FIPは市場で電気を売り、参照価格などを基に算定されるプレミアムを受ける制度です。蓄電池を併設すれば自動的に収益が増えるわけではなく、発電予測、出力制御、卸市場価格、約定した調整力、SOCを同じ時間軸で管理する必要があります。

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EMSは発電量を見るだけでなく、約定した余力を確保する

太陽光併設型は、天候で発電出力が変動する中でも、約定した調整力を確保し続けなければなりません。今回の公表では、九州電力の100%子会社であるニシム電子工業のEMSが太陽光と蓄電池を制御し、丸紅新電力が卸電力市場と需給調整市場への入札・運用を担います。丸紅新電力が受託する系統用蓄電池の運用規模は161MWに達しています。

設備見積では『EMS一式』だけで済ませず、発電予測、出力制御の検知、SOC上下限、充放電指令、約定量の確保、計量値の取得、通信断時の動作、履歴保存を誰のシステムが担うかを確認します。市場運用者とEMS・PCSベンダーの責任分界が曖昧だと、設備は動いても市場要件を満たせないことがあります。

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卸市場の売上と調整力収入を、同じ出力で二重に数えない

同じ30分に、PCSの全出力を卸電力市場での放電と、需給調整市場で確保する上げ余力の両方へ使うことはできません。卸市場へ何MWを出すか、調整力として何MWを空けるか、充電側の余力をどう持つかを分けて計算します。実際に動いた電力量、充電電力費、変換損失、補機電力、インバランス、電池劣化も費用へ入れます。

2026年9月1日から一次調整力二次調整力①、複合商品のΔkW上限価格は10円/ΔkW・30分へ変更されています。上限は約定価格や売上の保証ではありません。今回の参入実績を、そのまま別案件の収益率へ当てはめないことが重要です。

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設備側で先に固めるのは、PCS・計量・通信・受変電の境界

市場運用を前提にする併設蓄電池では、電池容量だけでなく、連系点で使えるPCS出力、太陽光と蓄電池の接続方式、逆潮流制限、計量点、指令回線、受変電設備の容量、保護協調を一体で確認します。既設発電所へ追加する場合は、既設PCS・監視装置・出力制御装置との信号連携や、停電を伴う改造範囲も確認が必要です。

事前審査に使う制御ロジックと、竣工後の実機設定が食い違わないよう、アグリゲーター、EMS、PCS、設備保有者、施工会社の間で試験項目と合否判定を文書化します。性能試験、不具合時の再試験、通信費、保守、ソフト更新を誰が負担するかも契約前に整理します。

  • 接続検討回答書と連系点の出力上限
  • 太陽光・蓄電池・PCS・変圧器の単線結線図
  • ACリンク・DCリンクと計量点
  • EMS・PCS・指令回線の通信仕様
  • SOC、効率、補機、劣化を含む使用可能容量
  • 事前審査、性能試験、障害時対応の責任分界
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工場の自家消費用蓄電池とは、目的を分けて考える

今回の事例は、FIP太陽光発電所に併設し、卸電力市場と需給調整市場で運用する発電事業です。工場や倉庫の自家消費太陽光・蓄電池へ、そのまま同じ収益モデルを適用できるわけではありません。需要家側では、電気料金削減、ピークカット、BCP、自家消費率向上のどれを優先するかで必要な出力・容量・制御が変わります。

市場取引を組み込む場合は、操業に必要なSOCや非常時容量と、市場へ提供する余力を明確に分けます。設備導入の前に、30分値、既設太陽光の発電実績、出力制御実績、停電時に残す負荷、接続条件を揃え、設備目的と運用契約を同じ前提で比較してください。

POINT

この記事のまとめ

丸紅新電力は2026年8月、FIP太陽光に併設した蓄電池で需給調整市場への調整力提供を開始しました。卸市場との組み合わせは実運用段階へ進みましたが、収益を重ねて数えることはできません。設備計画では、発電予測、SOC、PCS出力、計量点、指令通信、受変電設備、事前審査と各社の責任分界を先に整理する必要があります。

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  • 既設太陽光と連系条件の確認
  • 蓄電池・PCS・EMS・計量点の整理
  • 受変電・配線・通信・試験の工事範囲を確認
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本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。

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