環境共創イニシアチブ(SII)は2026年9月8日、令和7年度補正「系統用蓄電システム等導入支援事業」の交付申請手引きと申請様式を公開しました。公募は9月4日に始まっており、締切は11月4日17時必着です。最大受電電力1,000kW以上の系統直結型が対象で、申請には3者見積、Jグランツでの電子申請、紙書類の郵送が必要です。設備仕様だけでなく、連系協議、地元調整、事業収支、安全・サイバー対策まで同時に詰める公募です。最終確認日:2026年9月9日。
需要側・発電所併設は別事業
最大受電電力で判定
市場取引・相対契約など
安全・消防・系統要件を満たす
工場の需要側蓄電池や再エネ発電所への併設蓄電池は、この公募ではなく別事業の対象です。
申請期限は2026年11月4日17時必着
公募期間は2026年9月4日から11月4日17時までで、交付決定は2027年1月上旬以降の予定です。9月8日に交付申請の手引き、申請様式一式、見積書の参考フォーマット、FAQが公開され、申請に必要な書類がそろいました。予算は関連する3事業合計616億円の内数で、2026年度分は約80億円の内数です。系統用蓄電池だけに確保された金額ではありません。
申請はGビズIDプライムを使ったJグランツへの入力・電子データ添付と、紙の申請書類一式の郵送の両方が必要です。Jグランツへの入力だけでは申請と認められません。郵送物も11月4日17時必着のため、社内決裁や押印、ファイリング、配送日数を逆算します。
- ✓制度状態:公募中・申請書類公開済み
- ✓公募:2026年9月4日~11月4日17時必着
- ✓交付決定:2027年1月上旬以降の予定
- ✓対象地域:全国
- ✓最終確認日:2026年9月9日
対象は最大受電電力1,000kW以上の系統直結型
対象設備は、日本国内で電力系統へ直接接続し、卸電力市場、需給調整市場、容量市場、相対契約などを通じて調整力等を供出する、新設の蓄電システムです。最大受電電力が1,000kW以上であることが基本要件です。需要家側に置く産業用蓄電池や、発電所へ併設する蓄電池はこの公募の対象外で、それぞれ別事業との切り分けが必要です。
申請者は日本国内で事業活動を営む法人で、原則として設備の所有者かつ使用者です。リースなどで所有者と使用者が異なる場合は、所有者を主申請者、使用者を共同申請者とする共同申請が必要です。運用だけを受託する事業者は、ここでいう使用者には含まれません。
補助率は電池種別・受電電力・時間容量で変わる
補助対象は設計費、設備費、工事費です。リチウムイオン電池は、最大受電電力1,000kW以上1万kW未満が3分の1以内・上限10億円、1万kW以上3万kW未満が3分の1以内・上限25億円、3万kW以上が2分の1以内・上限40億円です。
長期エネルギー貯蔵技術(LDES)は、最大受電電力1,000kW以上で6時間容量未満が2分の1以内、6時間容量以上が3分の2以内で、いずれも上限20億円です。リユース蓄電池は2分の1以内・上限20億円です。公募要領ではレドックスフロー、水電解水素貯蔵、液化空気蓄電、重力蓄電、蓄熱などがLDESの例として示されています。
共通仕様で設備・工事条件を比較
電子入力だけでは申請未完了
採択後に交付決定通知を確認
交付決定前の発注は対象外
申請準備と発注のタイミングは別です。納期を押さえる場合も、補助対象経費に係る契約・発注を先行させないよう確認します。
3者見積は申請前、契約・発注は交付決定後
交付申請前に、契約単位ごとの3者見積または競争入札を行い、設備メーカー・型番を決める必要があります。設計、設備、工事を別々に発注するなら、それぞれ3者分が必要です。見積依頼で特定メーカー・機種を指定することは認められず、仕様の指定により結果的に候補が限定される場合も対象外になり得ます。
一方、補助対象経費に関する契約・発注は、SIIの交付決定日より前に行えません。見積取得と発注を混同しないことが重要です。最安値以外の見積先へ発注することはできますが、補助対象経費は3者見積の最低価格が上限になります。見積書は補助対象・対象外経費を分け、蓄電池ではセル、モジュール、電池システム、蓄電システム、PCSごとのメーカー・型番を確認します。
連系協議・地元調整・安全対策を申請時点で示す
審査では、一般送配電事業者との個別協議の進捗、基本設計と容量計算、地元自治体との協議、地権者等への説明計画、資金計画、事業収支、実施体制が確認されます。申請時点で自治体との協議が始まっていない、設備仕様が確定していない、連系協議の進捗が不十分と判断される場合は採択されない可能性があります。
リチウムイオン電池にはJIS C 8715-2またはIEC 62619の第三者認証に加え、所定規格の類焼試験に関する第三者証明などが求められます。消防への事前相談、火災検知・消火、騒音、情報セキュリティ、サプライチェーン途絶への対策も準備対象です。市場運用の収益だけでなく、設備・施工・保安・通信の責任分界を申請書と契約条件で一致させます。
単年度か複数年度かを工程から判断する
単年度事業の最終完了期限は2027年2月18日です。完了には、一般送配電事業者との連系承諾、設備設置工事、試運転・検収、補助対象経費の全額支払いが必要です。交付決定が2027年1月上旬以降の予定であるため、単年度を選ぶ場合は短い期間で契約、調達、施工、検収、支払いまで完了できる根拠が求められます。
複数年度事業は全体2年なら2028年1月19日、全体3年なら2029年1月19日が最終期限です。大型PCS、受変電設備、長納期部材、造成、消防・連系協議を含む案件では、楽観的な工程にせず、見積・工程表と納期証憑を整合させます。運用開始後は3年間、30分値、SOC、応札・約定、収支などの活用状況報告が求められます。
申請前にそろえたい資料
SIIの提出書類一覧には、申請概要、導入設備情報、実施概要、実施体制、事業経費と調達方法、見積依頼仕様書、3者分の見積依頼書・見積書、比較表、機器配置図、単線結線図、工程表、登記簿、財務諸表、地元説明・協議資料などが含まれます。該当案件では、土地の利用権、リース契約、安全・セキュリティ対策の証明も必要です。
最初に事業主体と設備所有・使用関係を固め、次に連系点と最大受電電力、電池・PCS・受変電設備の基本仕様、配置、消防・地元協議、工期をそろえます。その条件を共通の見積依頼仕様書に落とし込んで3者へ依頼すると、価格だけでなく保証、納期、工事範囲も比較しやすくなります。
POINT
この記事のまとめ
今回の公募は、最大受電電力1,000kW以上の系統直結型が対象です。11月4日17時必着に向け、GビズID、Jグランツ、紙書類、3者見積を並行して準備します。連系協議、地元調整、設備安全、事業収支、工期の証拠がそろっているかを先に確認し、契約・発注は必ず交付決定後に行ってください。
系統用蓄電所の設備・工事条件を申請前に整理する
蓄電池・PCS・受変電設備、配置、単線結線、工事工程の前提を整理します。補助金の採択、補助対象、補助金額や市場収益を保証するものではありません。
- ✓蓄電池・PCS・受変電設備の仕様
- ✓配置図・単線結線図と工事範囲
- ✓3者見積でそろえる設備・工事条件
参考にした一次情報
本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
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