電力広域的運営推進機関(OCCTO)は2026年9月2日、2026年度の長期脱炭素電源オークション募集要綱と容量確保契約約款を公表しました。脱炭素電源の募集量は500万kWで、このうちリチウムイオン蓄電池は40万kWが上限です。系統用蓄電池は送電端30MW以上、連続6時間以上などの要件があり、事業者情報の登録は10月13日から、応札は2027年1月19日から始まります。案件の出力・容量・系統接続・機器選定・工程に関わる確定条件を整理します。本記事は2026年9月2日時点の公表資料を基にしています。
リチウムイオン蓄電池の募集上限は40万kW
2026年度オークションにおける脱炭素電源の募集量は500万kWです。このうちリチウムイオン蓄電池は40万kW、リチウムイオン以外の蓄電池も40万kWが募集上限として設定されました。揚水式水力と長期エネルギー貯蔵システムは合計40万kWが上限です。
募集上限は落札を保証する枠ではありません。応札価格などを基に落札候補が決まり、リチウムイオン蓄電池では、経済安全保障推進法に基づく蓄電池の供給確保計画の認定を受けたメーカーが製造するセルを使用する案件が優先されます。メーカー名だけで判断せず、採用するセルと認定状況を型式・供給計画単位で確認する必要があります。
- ✓要綱公表日:2026年9月2日
- ✓脱炭素電源の募集量:500万kW
- ✓リチウムイオン蓄電池の募集上限:40万kW
- ✓対象地域:沖縄地域・その他離島を除く全国
- ✓最終確認日:2026年9月2日
蓄電池は送電端30MW以上・連続6時間以上
蓄電池の参加可能な設備容量は送電端で3万kW以上です。さらに、1日1回以上、連続6時間以上の運転継続が可能であり、期待容量等算定諸元一覧における連続発電可能時間の年平均値も6時間以上であることが求められます。
単純に30MW×6時間=180MWhの銘板容量を用意すれば満たすとは限りません。送電端出力は発電端から所内消費などを控除して考え、有効容量にはSOC上下限、変換損失、補機電力、経年劣化、温度条件が影響します。設備容量は、将来の劣化を含めて6時間を維持できるかを確認して決めます。
- ✓参加可能容量:送電端30MW以上
- ✓運転継続:1日1回以上、連続6時間以上
- ✓年平均の連続発電可能時間:6時間以上
- ✓応札時点:運転開始前の新規投資案件
事業者登録は10月13日、応札は2027年1月19日から
最初の受付は事業者情報の登録で、2026年10月13日から16日までです。電源等情報は10月19日から23日、期待容量は12月9日から15日に登録し、応札は2027年1月19日から26日まで行います。約定結果は応札受付終了から3か月後を目途に公表されます。
事業者情報の登録には事業者コードとクライアント証明書が必要です。電源等情報では、接続検討回答日や工事費負担金額などを記載する事業計画書が用意されています。10月に入ってから設備仕様を決めるのではなく、接続、出力、容量、資金、機器供給、工期を先に揃える必要があります。
- ✓事業者情報:2026年10月13日~16日
- ✓電源等情報:2026年10月19日~23日
- ✓期待容量:2026年12月9日~15日
- ✓応札:2027年1月19日~26日
- ✓期待容量算定諸元:2027年1月27日~2月3日
GF・LFC・EDCを設備計画へ入れる
蓄電池は調整機能を備え、制度適用期間中も維持する必要があります。募集要綱はGF、LFC、EDCの全機能を求め、GFは自端の周波数変化に応じた出力増減、LFC・EDCは一般送配電事業者の指令に応じた出力増減としています。
制御回線は原則専用線です。10万kW未満で光ケーブル回線を施工できない設備には簡易指令システムも認められ、その場合はLFCが必須ではないとされています。PCS・EMSの仕様だけでなく、指令、監視、計量、通信断時の動作、一般送配電事業者との試験をEPC見積へ含めます。
容量収入は原則20年、蓄電池は最長40年を選べる
制度適用期間は、供給力提供開始年度の翌年度から原則20年間です。蓄電池は希望すれば1年単位で最長40年まで選択できます。長期の容量収入は投資回収の予見性を高めますが、40年間の電池性能や市場収益を保証するものではありません。
蓄電池の上限価格は設置エリアにより70,675円から74,906円/kW・年です。これはその金額で落札・支払いされるという意味ではなく、上限価格以下で応札するための基準です。実際の容量確保契約金額では、他市場収益の還付、物価・金利補正、リクワイアメント、ペナルティー、市場退出条件まで確認します。
機器を組み合わせる設計には制限がある
2026年度は、リチウムイオン蓄電池と非リチウムイオン蓄電池を組み合わせて1電源とすることや、複数メーカーのリチウムイオン蓄電池を組み合わせて1電源とすることは対象として認められません。複数のコンテナやPCSで構成する場合も、セルメーカーと電源区分の整理が必要です。
また、蓄電池と別種類の電源を同一場所へ併設し、単独で系統接続しない場合は対象外となる条件があります。太陽光併設や複数号機を計画する案件は、配置が同じかではなく、連系点、計量点、電源区分、単独接続の関係を単線結線図で確認してください。
応札前に設備側で確認する項目
オークション条件と設備見積を別々に進めると、送電端出力、6時間容量、調整機能、通信回線が後から追加されます。接続検討回答を基準に、蓄電池、PCS、EMS、変圧器、所内負荷、計量、通信、試験まで同じ構成で照合します。
特に長期契約では、初期容量だけでなく、増設・交換計画、セル供給、保証、火災安全、保守停止、廃棄・リサイクルを資金計画へ入れます。落札や容量収入を保証する制度ではないため、JEPX・需給調整市場を含む収益と費用も別に感度分析してください。
- ✓接続検討回答と送電端出力
- ✓6時間を維持する有効容量と劣化余裕
- ✓セルメーカーと供給確保計画の認定状況
- ✓GF・LFC・EDCに対応するPCS・EMS
- ✓専用線、指令、監視、計量、性能試験
- ✓工事費負担金、機器納期、供給力提供開始時期
- ✓交換・増設、保証、保守停止の長期計画
- ✓他市場収益、還付、未達・退出の下振れケース
POINT
この記事のまとめ
2026年度の長期脱炭素電源オークションでは、リチウムイオン蓄電池の募集上限が40万kW、参加要件が送電端30MW以上・連続6時間以上と定まりました。事業者登録は2026年10月13日、応札は2027年1月19日からです。案件では募集枠だけでなく、セルの認定、送電端出力、有効容量、GF・LFC・EDC、通信回線、長期の交換・保守、他市場収益の還付まで設備計画と事業計画を一致させる必要があります。
系統用蓄電池の設備・工事条件を整理する
接続検討回答、蓄電池・PCS・EMS、受変電設備、設置条件を確認し、設備と工事の範囲を整理します。オークションへの応札、市場運用、アグリゲーション業務そのものを提供するものではありません。
- ✓送電端出力と必要容量の確認
- ✓蓄電池・PCS・EMS・変圧器の構成整理
- ✓通信・計量・調整機能を含む工事範囲の確認
参考にした一次情報
本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
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