扶桑薬品工業と中国電力は2026年10月1日、オフサイトコーポレートPPAを締結したと発表しました。中国電力が中国エリア内に扶桑薬品工業専用の太陽光発電設備を新設し、岡山工場と建設予定の岡山第二工場へ、系統を通じて電気と環境価値を供給します。予定するパネル容量は約900kWです。電源所在地、供給開始時期、契約期間、価格は公表されていません。

発表で確認できた案件概要
需要家は医薬品を製造する扶桑薬品工業、供給者は中国電力です。供給先は中国エリアにある岡山工場と、今後建設予定の岡山第二工場です。中国電力が需要家専用の太陽光発電設備を新たに開発します。
発表では、太陽光パネル容量を約900kWとし、年間約400トンのCO2排出量削減を見込むと説明しています。この削減量は発表企業の見込みであり、実際の発電量、工場使用量、排出係数によって結果は変わります。
| 項目 | 公表内容 |
|---|---|
| 契約当事者 | 扶桑薬品工業、中国電力 |
| 供給先 | 岡山工場、建設予定の岡山第二工場 |
| 電源 | 中国エリア内に新設する需要家専用の太陽光発電設備 |
| パネル容量 | 約900kW(予定) |
| 供給物 | 電気と環境価値 |
| 公表日 | 2026年10月1日 |
系統を介して電気と環境価値を供給するフィジカルPPA
今回の発表は、離れた太陽光発電所から電力系統を介して需要施設へ再エネ電気を届けるオフサイトPPAです。対象電源の電気と環境価値を一体で供給する構成で、環境価値だけを移すバーチャルPPAとは異なります。
ただし、発表資料は小売供給の料金構成、インバランスや不足電力の扱い、発電量と工場使用量の照合方法を示していません。『約900kW』はパネル容量であり、工場の契約電力や年間使用電力量、PPAによる調達比率を表す数値ではありません。
既設電源ではなく専用電源を新設する追加性
両社は、既存の再エネ設備を使うのではなく、扶桑薬品工業向けに太陽光設備を新設することで『追加性を有するグリーン電力』を供給すると説明しています。需要家の契約が新しい再エネ設備の開発に結び付く点が案件の特徴です。
一方、開発地点、着工・運転開始時期、FIT・FIP・非FITの区分、設備所有者、契約終了後の扱いは未公表です。追加性の主張を社外報告に用いる場合は、対象電源、運転開始時期、環境価値の帰属、証跡を契約・報告資料で確認します。
製造業の複数拠点調達で参考になる点
一つの専用電源から既存工場と建設予定の新工場へ供給する計画は、複数拠点をまとめて再エネ調達する例です。需要家が同様の案件を検討するときは、拠点別の30分需要、操業開始時期、契約電力、休日負荷をそろえ、発電量をどの拠点へどう割り当てるか確認します。
新工場は建設工程や生産立ち上げで需要が変わります。供給開始が遅れた場合、工場稼働が遅れた場合、想定より発電・需要が少ない場合の不足・余剰処理を契約条件へ入れる必要があります。
- ✓電源所在地と運転開始予定
- ✓拠点別の契約電力・30分需要
- ✓電気と環境価値の割当方法
- ✓不足・余剰電力の調達と精算
- ✓契約期間、価格改定、中途解約
- ✓新工場の工程変更時の扱い
- ✓発電停止・制度変更・電源売却時の扱い
今回の発表だけでは分からないこと
供給開始時期、発電所の所在地、設備容量のDC・AC比、想定年間発電量、PPA価格、契約期間、環境価値の証書区分、工場別の供給量は公表されていません。年間約400トンという削減見込みから、電気料金削減額や再エネ比率を逆算しません。
扶桑薬品工業は2030年にScope 1・2のCO2排出量を2013年度比30%以上削減し、2050年にゼロとする目標を掲げています。今回のPPAが目標へどの程度寄与するかは、供給開始後の発電・使用実績と環境価値の計上方法を待つ必要があります。
POINT
この記事のまとめ
扶桑薬品工業と中国電力は、中国エリアに約900kWの需要家専用太陽光を新設し、岡山の既存工場と建設予定の第二工場へ電気と環境価値を供給するオフサイトPPAを締結しました。新設電源による追加性と複数工場への供給が特徴です。供給開始、価格、期間、発電所所在地などは未公表です。
参考にした一次情報
本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
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