電力需給調整力取引所(EPRX)は2026年9月10日、調整力指令と出力制御指令が重なった場合の扱いを周知しました。基本的な対応をもとにアセスメントⅡと調整判定を行う一方、一般送配電事業者のシステム事情などにより、給電申合書等で異なる対応を取り決める場合があるとしています。蓄電池を需給調整市場で運用する計画では、設備の性能に加え、接続先との取り決めと運用会社の制御仕様を確認したい内容です。最終確認日:2026年9月10日。
今回の発表で確認できること
EPRXは、第61回需給調整市場検討小委員会の資料3で整理された基本的な対応に基づくと説明しています。ただし、設備があるエリアの一般送配電事業者と締結する給電申合書等によって、基本と異なる扱いを定める場合があります。そうしたエリアは、取引規程等の公表ページで案内するとしています。
これは補助金の募集や、新たな蓄電池の設置義務を知らせる発表ではありません。また、このお知らせだけで、指令の優先順位やペナルティの免除を全国一律に判断することはできません。本記事では個別エリアの例外内容や適用開始日を断定せず、設備ごとの確認事項を整理します。
最初に確認するのは、自分の設備への適用
以下は発表を受けた実務上の確認提案であり、EPRXが新たに義務付けた設備仕様ではありません。まず運用事業者に、対象設備が今回の取り扱いに該当するか、どの給電申合書や運用ルールを参照するかを確認します。工場の需要側蓄電池、太陽光併設、系統直結の蓄電所を、同じ前提で扱わないことが大切です。
確認の際は、設備名、接続エリア、連系点、参加する市場商品、指令の受信先を一枚にまとめます。説明が「当社システムで対応済み」だけなら、適用する文書の名称と版、例外の有無まで回答してもらうと、設備側との認識違いを減らせます。
見積では、二つの指令を受けたときの動作を聞く
PCSとEMSの見積比較では、通常の充放電性能に加え、指令が重なったときの処理を確認します。どこで指令を受信し、どの装置が最終的な出力を決めるのか。片方の指令が解除された場合や通信が途切れた場合はどう戻すのか。運用会社と機器メーカーの説明を、同じ制御仕様書にまとめることを勧めます。
既設設備なら、ソフト設定で対応できるのか、追加の通信機器や配線が必要なのかを切り分けます。受変電設備の改修が一律に必要になるという発表ではありません。現地試験の要否、停止が必要な時間、試験費用を確認してから、工事や運用開始の工程に反映します。
運用契約では記録と説明の担当を決める
運用委託契約の確認では、指令の受信時刻、指令値、実際の出力、制御状態を誰が保存し、設備所有者がどこまで閲覧できるかを聞いておきます。指令が重なった時間帯の説明資料を、誰が一般送配電事業者や取引所へ提出するのかも確認対象です。
収支への影響は、指令を受けた事実だけで決めず、適用ルールと判定結果を確認してから整理します。追加設定や試験の費用、運用停止中の扱い、未達等が生じた場合の負担について、契約のどの条項で扱うかを確認しておけば、設備側と運用側の責任が曖昧なまま進むのを防げます。
POINT
この記事のまとめ
運用事業者へ確認したいのは、適用文書、指令重複時の動作、必要な設備対応、記録と説明の担当です。指令の優先順位を自己判断で変更せず、接続先との取り決めを確認したうえで制御仕様と契約条件をそろえてください。
省エネ・再エネ設備導入のご相談
蓄電池や受変電設備の仕様、通信配線、工事範囲についてご相談いただけます。市場での取引や指令運用、精算の扱いは、契約する運用事業者と一般送配電事業者へご確認ください。
資料がすべて揃っていなくても、現在分かる範囲からご相談いただけます。参考にした一次情報
本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
本記事の文章・図表・構成の著作権は運営者に帰属します。無断転載・複製・再配布はできません。引用や利用についてはコンテンツ利用条件をご確認ください。