NEDO、風車国産化へ20億円規模の研究開発公募|浮体式・国内部品を対象

NEDOが風車生産技術研究開発の公募を開始。最大10億円の2研究項目、国内調達比率65%、浮体式洋上風力15GWを見据えた国産部品・設計開発の条件を整理します。

NEDOは2026年9月4日、「風車生産技術研究開発」の実施者募集を始めました。アジア太平洋地域の気象・海象条件に対応した浮体向け風車と部品の安定供給、国内サプライチェーンの構築が目的です。公募は2つの研究開発項目で行われ、1件あたり最大10億円程度、NEDO負担率100%の委託事業です。応募期限は10月5日正午。大型風車の国内製造拠点がない日本で、部品データと風車設計の両面から国産化へ踏み込む内容を整理します。本記事は2026年9月4日時点の公募資料を基にしています。

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公募は2分野、各1件あたり最大10億円程度

公募対象は「風車部品産業強靱化基盤開発」と「風車設計技術研究開発」の2分野です。どちらも委託事業で、1件あたり最大10億円程度、NEDO負担率は100%。事業全体の想定予算は20億円程度で、2026年度予算は約9.5億円です。

応募は企業、大学などが単独または複数で行えます。ただし、同じ提案で2分野へ同時応募することや、各研究項目の一部分だけを提案することはできません。研究実績、実施体制、経営基盤、情報管理、成果の実用化・事業化能力などが求められます。

  • 公募開始:2026年9月4日
  • 応募期限:2026年10月5日正午
  • 説明会:2026年9月10日15時
  • 説明会申込期限:2026年9月10日正午
  • 応募方法:Jグランツ
  • 対象地域:日本国内に研究開発拠点を持つ企業・大学等
  • 最終確認日:2026年9月4日
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部品開発では、実海域データを国内メーカーが使える形へ

風車部品産業強靱化基盤開発では、実海域の風、波、荷重などを取得し、風車部品の設計評価に使えるモデルデータを構築します。アジア太平洋特有の環境条件や浮体式特有の条件を踏まえ、部品間の境界要件、データ取得手法、デジタルツインを含む活用方法まで検討します。

国内の部品メーカーにとって、風車全体の設計情報や部品境界の荷重条件へアクセスしにくいことが技術提案の壁になってきました。今回の事業は、部品単体の試作支援ではなく、部品設計へ使える共通データ基盤を整える点が重要です。2028年度までに年間データ取得率90%以上と、継続利用の仕組みの基本設計を目指します。

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風車設計では、日本・アジア向け仕様を具体化

風車設計技術研究開発では、平均風速が比較的低い一方で台風時の極値風速が高いこと、雨、雷、高温、地震など、アジア太平洋地域の条件を反映した風車仕様を検討します。浮体へ搭載する場合の条件、コア技術、長期O&Mへの影響、海外OEMとの協業、知財・ライセンスも対象です。

2027年度までに、浮体搭載用を含む風車とコア部品の概念設計を完了し、国内サプライチェーン構築のシナリオを作成する計画です。すぐに国産大型風車が量産される公募ではなく、後続の設計、実証、量産投資へ進むための基盤開発と位置づける必要があります。

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2040年に国内調達比率65%、浮体式15GWを見据える

政策目標は、2040年までに洋上風力30~45GWの案件形成、そのうち浮体式15GWです。さらに、ナセルやブレードなど主要製品の国内製造拠点形成を通じ、風力発電事業のライフタイム全体で国内調達比率65%を目指しています。

日本には現在、洋上風力向け大型風車の国内製造拠点がありません。海外調達だけに依存すると、為替、輸送、部品供給、長期保守が事業費と稼働率のリスクになります。今回の公募は、国内市場だけでなくアジア太平洋市場への展開まで含めて量産規模を確保する考えです。

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これは一般的な設備投資補助金ではない

今回の公募は、工場が自家消費太陽光や省エネ設備を導入するための補助金ではありません。風車・部品の研究開発実績と体制を持つ企業や大学などが、NEDOと委託契約を結んで研究開発を行う事業です。採択後は研究成果、データ、知財、情報管理など委託事業特有の条件へ対応する必要があります。

また、1件あたり最大10億円は採択額を保証するものではありません。2027年度以降の予算は政府方針や審議状況で変動し、契約額が減額される可能性も公募要領に記載されています。応募予定者は、役割分担、研究設備、実海域データの取得先、事業終了後の実用化計画まで早めに固める必要があります。

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国内製造業が確認したい6つの論点

風車のサプライチェーンは部品点数が多く、材料、加工、電機、制御、試験、保守など広い製造基盤に関係します。ただし、既存技術があるだけでは応募要件を満たすとは限りません。研究開発項目全体へどう参加し、成果を量産と事業化へつなげるかが審査上のポイントになります。

研究開発へ直接応募しない企業にとっても、風車メーカーや研究代表者がどの国内部品・データ・試験機能を必要とするかを把握する機会です。今後の採択結果と実施体制は、国内でどの機能を重点的に育成するかを見る材料になります。

  • 自社技術が2つの研究項目のどちらに入るか
  • 実海域データと部品境界条件をどう取得するか
  • 共同提案時の代表法人と各社の責任分担
  • 研究成果の実用化・量産・海外展開シナリオ
  • 知財、ライセンス、データ共有の範囲
  • 2028年度以降の設備投資と供給体制

POINT

この記事のまとめ

NEDOは、浮体式を含む風車・部品の国内供給基盤をつくるため、2分野で研究開発の実施者を募集しています。各1件あたり最大10億円程度、NEDO負担率100%の委託事業で、応募は2026年10月5日正午までです。部品設計に使える実海域データと、日本・アジアの環境に合う風車仕様を同時に整備し、2040年の国内調達比率65%と浮体式15GWへつなげる政策です。

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