一般送配電事業者10社は2026年9月7日、災害時連携計画の変更届出書を電力広域的運営推進機関(OCCTO)へ提出しました。今回の発表は、需給が厳しいときに追加の供給力を確保するための連携手順を見直すものです。工場に新たな節電要請が出たという発表ではありません。電力会社側の運用と、自社のDR契約・停電対策を分けて読みます。最終確認日:2026年9月8日。
暫定運用を連携計画に反映する変更
北海道電力ネットワークの公式発表では、2024年度冬季から実施している追加供給力対策の発動基準変更に関する暫定運用などを、現在の運用状況に合わせて計画へ反映すると説明しています。対象には余力活用電源の追加起動、揚水発電機の運用切替、発動指令電源、増出力・ピークモード運転が含まれます。
新しい発電所や蓄電池の建設計画ではなく、利用できる電源をいつ動かし、誰が判断・連絡するかという運用面の見直しです。この届出だけから、電力不足の発生や電気料金の上昇を予測することはできません。
- ✓公表・届出日:2026年9月7日
- ✓状態:変更届出書の提出を公表
- ✓対象:一般送配電事業者10社(沖縄を含む)
- ✓公募・申請締切:該当なし
発動指令の手順と、自社への通知は同じではない
公表された別添9には、容量確保契約に基づく発動指令電源について、広域予備率5%未満の場合の判断と、原則として実需給の3時間前までに発動を指令する手順が示されています。事前確認を条件とする例外的発動要請もあります。沖縄は連系線がなく、電力融通の対象外で、追加供給力対策はエリア予備力に基づきます。
ただし、これは送配電事業者と広域機関などの手順です。需要家が契約先から何時に連絡を受け、どれだけ需要を下げるかは、自社が参加する仕組みと契約を確認する必要があります。資料中の『3時間前』を、そのまま工場が準備に使える時間と見なさないことが大切です。
DR参加工場は、通知から復帰までを一度通して確認する
以下は今回の発表を受けた編集部の実務上の確認提案であり、新たな制度要件ではありません。DRに参加している施設では、契約先の通知を受ける人と、設備を操作できる人が一致しているかを確認しておきたいところです。昼間の担当者だけでなく、夜間・休日・交代勤務の引継ぎも対象にします。
設備ごとの削減可能量を足すだけでは運用手順になりません。停止できない工程、品質への影響、操作に必要な時間、復帰の順番を設備担当と生産担当で共有します。応動の可否や未達時の扱いは契約先に確認し、安全や品質を犠牲にした対応を前提にしないでください。
- ✓通知の受信先と、不在時の代替連絡先
- ✓操作対象・操作権限・停止できない工程
- ✓準備時間と、対応できない場合の連絡方法
- ✓計測データの確認担当と契約上の評価方法
- ✓解除後の復帰手順と、同時再起動を避ける段取り
DRで下げる負荷と、BCPで守る負荷を分ける
需給対策への参加と、停電時の事業継続は別の目的です。設備計画では『一時的に止められる負荷』と『停電しても維持したい負荷』を別々の一覧にすると、設備会社との打合せが進めやすくなります。通信、制御、冷蔵・冷凍、ポンプなどを業務の優先順位と回路に対応づけて整理します。
蓄電池を平常時の運用と非常時の備えに兼用する計画なら、非常時に残す電力量、停電時に給電できる回路、切替中に停止してよい時間を見積条件に含めます。容量だけで判断せず、単線結線図、既存電源の仕様、操作手順をもとに設備側の確認を依頼します。工事を伴う場合は、切替試験と施設の停電可能日も先に調整しておくと手戻りを抑えられます。
POINT
この記事のまとめ
今回の発表は、追加供給力対策に関する電力会社間の連携手順の見直しです。需要家は一律の新しい節電義務と受け取らず、DRの契約条件・通知経路と、停電時に守る負荷・設備構成をそれぞれ確認してください。
工場・倉庫の非常時負荷と設備条件を整理する
太陽光・蓄電池・受変電設備の検討に向け、維持したい負荷と既存設備の条件を整理します。DR契約の仲介や電力市場の運用代行を案内するものではありません。
- ✓止められない設備と必要時間
- ✓既存の単線結線図・非常用電源
- ✓設備更新と切替工事の範囲
参考にした一次情報
本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
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