需要率は『設備容量の合計に対して最大需要電力がどれほどか』、不等率は『複数の負荷の最大値が同時に発生しない度合い』、負荷率は『一定期間の最大需要電力に対して平均需要電力がどれほどか』を示します。似た言葉ですが、変圧器容量の検討、複数負荷の合成、電力使用の平準化という役割は別です。見積や省エネ計画では、推定係数だけでなく30分値と設備の運転予定で確認します。

需要率・不等率・負荷率は分母が違う
日本電気技術者協会は、需要率を最大需要電力÷全設備容量、不等率を個々の最大需要電力の合計÷合成最大需要電力、負荷率を平均需要電力÷最大需要電力として整理しています。需要率と負荷率は100%以下、不等率は原則1以上です。
三つを一つの『設備の稼働率』として扱うと、変圧器容量を過大または過小に見積もる原因になります。どの期間・負荷群・計測点の値かを先に決めます。
| 指標 | 基本式 | 何を見るか | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 需要率 | 最大需要電力÷全設備容量 | 設備を同時にどこまで使うか | 受変電・幹線容量の入口 |
| 不等率 | 個々の最大値合計÷合成最大値 | 最大値の発生時刻のずれ | 複数系統・棟・負荷の合成 |
| 負荷率 | 平均需要電力÷最大需要電力 | 一定期間の負荷の平準度 | 運用改善・損失・料金分析 |
需要率は設備容量の合計と最大需要電力を比べる
設備台帳上のモーター、空調、照明などを合計しても、全機器が同時に定格出力で動くとは限りません。全設備容量が1,000kW、実測した最大需要電力が600kWなら、需要率は60%です。
ただし、過去の需要率だけで新しい変圧器容量を決めると、設備増設、一斉起動、季節ピーク、負荷移設を見落とします。最大需要電力の発生日時と、そのとき動いていた設備を確認し、将来計画を加えます。
不等率は複数負荷のピークが重ならない効果を表す
A系統の最大需要電力が300kW、B系統が200kWでも、別の時刻にピークが出て合成最大需要電力が400kWなら、不等率は500÷400=1.25です。個々の最大値を単純合計するより、合成した実負荷は小さくなります。
不等率は建物や工程の運転時刻に依存します。操業変更や電化設備の追加でピーク時刻が重なるようになれば、過去の不等率は使えません。複数の変圧器を統合する場合は、同じ時刻軸の30分値を合成します。
負荷率は平均と最大の差から電気の使い方を見る
ある月の平均需要電力が300kW、最大需要電力が600kWなら、月負荷率は50%です。負荷率が低い場合は、短時間のピークに対して設備や契約電力が大きくなっている可能性があります。
負荷率を上げれば必ず電気料金が下がるわけではありません。平均使用量を増やして見かけ上の負荷率を上げても省エネにはなりません。狙うのは、生産を維持しながら不要なピークを抑え、停止時間帯の無駄な電力や設備損失を減らすことです。
変圧器容量と省エネ効果では指標を混同しない
変圧器容量の検討では、現在の最大需要電力、力率、始動電流、相別負荷、将来増設を基本にします。需要率・不等率は推定や将来負荷の整理に使えますが、計測できる既設工場では実測値を優先します。
JEMAのトップランナー変圧器では、製品評価の基準負荷率を500kVA以下40%、500kVA超50%としています。これは製品区分を比較するための条件であり、すべての工場がその負荷率で運転すべきという意味ではありません。変圧器の負荷損は概ね負荷率の二乗で変わるため、候補機種は実際の時間帯別負荷で年間損失を比べます。
- ✓12か月以上の30分値と月別最大需要電力
- ✓設備台帳、定格容量、運転時刻、一斉起動の有無
- ✓変圧器ごとの相電流、力率、温度、損失値
- ✓生産設備、空調、EV充電器、太陽光・蓄電池の増設計画
- ✓統合・増容量時の短絡電流、保護協調、停電工程
30分値から実務で確認する手順
最初に受電点と変圧器二次側など、分析する計測点を決めます。次に、30分値を平日・休日、昼夜、季節、工程別に分け、最大値が発生した日時と設備状態を確認します。複数系統を統合する場合は同じ時刻の値を足し合わせます。
将来設備を加えるときは、定格容量をそのまま最大値へ足さず、運転時刻、負荷率、始動条件、制御方法を工程担当者と確認します。試算に使った需要率・不等率は根拠と適用範囲を残し、竣工後は実測値で検証します。
よくある質問
Q.需要率と負荷率は同じですか?
A.違います。需要率は設備容量と最大需要電力の比、負荷率は平均需要電力と最大需要電力の比です。
Q.不等率が高ければ変圧器を小さくできますか?
A.過去のピーク時刻がずれていても、操業変更や設備増設で重なる可能性があります。実測した同時負荷と将来計画を確認して判断します。
Q.変圧器カタログの基準負荷率をそのまま使えますか?
A.基準負荷率は製品評価条件です。自社設備の負荷率は実測データから求め、候補機種の損失を同じ運転条件で比較してください。
POINT
この記事のまとめ
需要率は設備容量と最大需要、不等率は複数負荷のピーク時刻のずれ、負荷率は平均需要と最大需要の関係を示します。既設工場では推定係数だけで容量を決めず、同じ計測点・時刻軸の30分値、将来増設、始動条件を使って受変電設備を検討します。
受変電設備の容量と将来負荷を同じ条件で整理する
既設の単線結線図、変圧器容量、30分値、設備台帳、増設計画を確認し、更新・増容量・負荷移設の検討条件を整理します。
- ✓設備容量と最大需要電力を照合
- ✓時間帯別・季節別の負荷を確認
- ✓将来増設と停電工程を反映
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参考にした一次情報
本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
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