三相不平衡は、三相の電圧・電流・負荷がそろっていない状態です。ただし『設備不平衡率』『電圧不平衡率』『電流不平衡率』は同じ指標ではありません。照明やコンセントなど単相負荷の偏りは、相電流、変圧器の各相負荷、中性線、線間・相間電圧を測って切り分けます。一相だけが定格電流を超えれば、三相合計に余裕があっても変圧器の過負荷と絶縁劣化につながります。

最初に『何の不平衡率か』を確認する
設備不平衡率は、単相負荷設備の接続容量が三相の各線間でどれだけ偏っているかを見る設計上の指標です。一方、電圧不平衡率は三相電圧を対称分へ分けたときの逆相電圧と正相電圧の比で、実際の電圧品質を評価します。電流不平衡率も実測電流の偏りを見る別の指標です。
日本電気技術者協会は、内線規程に基づく設備不平衡率と、電圧・電流不平衡率は意味が異なると説明しています。30%という設備不平衡率の目安を、測定した電圧不平衡率の許容値として使うのは誤りです。適用規程、契約・受電方式、機器仕様を確認し、指標名と計算式を測定記録に残します。
| 指標 | 主に表すもの | 主な用途 |
|---|---|---|
| 設備不平衡率 | 単相負荷設備容量の相間偏り | 負荷計画・設計 |
| 電流不平衡 | 各相に実際に流れる電流の偏り | 負荷運転・過負荷確認 |
| 電圧不平衡率 | 逆相電圧/正相電圧 | 電源品質・モーター影響の評価 |
三相合計ではなく、各相の電流と温度を見る
照明、コンセント、単相空調、IT機器などが一つの相へ集中すると、その相だけ電流が増えます。三相全体のkWや変圧器の平均負荷率が低くても、一相の巻線、端子、配線が先に定格へ達することがあります。三菱電機は、三相変圧器では各相電流が定格電流以下なら寿命への影響はない一方、一相でも定格電流を超えるとその相が過負荷になり、絶縁劣化が早まると説明しています。
点検ではR・S・T各相の電流を同時刻・同じ運転状態で測り、変圧器二次、主幹、主要分岐へ順にたどります。端子温度、巻線・油温、負荷の稼働時間も確認します。クランプメーターの瞬時値だけでなく、昼夜・曜日・操業状態を含むロギングが有効です。
電圧不平衡はモーターの逆相電流と発熱を招く
三相電圧が不平衡になると、モーターには逆方向の回転磁界をつくる逆相成分が生じ、電流の不平衡と発熱が大きくなることがあります。電圧の差が小さく見えても、モーター電流の差は大きくなる可能性があるため、線間電圧の最大値と最小値だけで判断しません。
日本電気技術者協会は、電圧不平衡率が3%を超える場合を対策検討の一つの目安として紹介する一方、長寿命を重視する基準や保護リレーの動作値は別水準になり得ると説明しています。これは一律の運転許容値ではありません。モーター、インバーター、保護継電器のメーカー仕様と適用規格を優先します。
単相負荷の相替えは、実測負荷と回路条件で決める
対策の第一候補は、単相分岐回路をR-S、S-T、T-Rへ分散することです。ただし、設備容量だけを均等にしても運転時刻が違えば電流はそろいません。電力ロガーでピーク時の各相電流を確認し、同時に動く負荷を分けます。
回路の相替えでは、電圧、極数、接地・中性線、漏電保護、相順、非常回路、盤内表示を確認します。太陽光PCS、蓄電池PCS、非常用発電機がある設備では、系統連系中と自立運転中で負荷バランスが変わるため、両方の運転状態を評価します。
- ✓単線結線図と盤回路表で単相・三相負荷を分類する
- ✓変圧器二次、主幹、主要分岐で三相電流を同時測定する
- ✓ピーク時刻と連続時間、相ごとの端子温度を記録する
- ✓相替え後に電圧・電流・相順・保護機能を再確認する
- ✓非常用発電機・自立運転時の相別許容負荷も確認する
大きな単相負荷はスコット変圧器も選択肢
溶接機、電気炉、鉄道・試験設備など大きな単相負荷を三相系統から使う場合は、スコット結線変圧器で三相を二つの単相回路へ変換する方法があります。二つの単相出力を同じ程度に使うことで、一次側の三相電流を平衡させやすくします。
ただし二次側二回路を並列接続することはできず、片側だけに負荷が偏れば一次側も不平衡になります。容量、負荷の同時性、短絡電流、保護協調、非常用発電機との組合せを含め、メーカーと電気主任技術者・設計者が確認します。
よくある質問
Q.設備不平衡率が30%以下ならモーターも安全ですか?
A.そうとは限りません。設備不平衡率は負荷設備容量の偏りを見る指標で、実際の電圧不平衡率やモーター温度とは別です。運転時の電圧・電流と機器仕様を確認します。
Q.三相の平均電流が定格以下なら変圧器に余裕がありますか?
A.一相でも定格を超えていれば、その相は過負荷です。各相電流と温度を確認します。
Q.相替えだけで直らない場合は?
A.上流電圧、変圧器結線、接続不良、大きな単相負荷、モーター・インバーター、非常用電源などを区間ごとに切り分けます。必要に応じて設備容量や結線方式を見直します。
POINT
この記事のまとめ
三相不平衡は、設備容量、実測電流、実測電圧を別の指標で確認します。平均負荷だけでなく各相電流と温度を測り、単相負荷を運転時刻まで含めて配分してください。設備不平衡率30%を電圧不平衡の許容値として使わず、モーター・変圧器・非常用発電機の仕様に沿って判断します。
参考にした一次情報
本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
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