期待容量は、登録した設備容量のうち、実需給年度に供給区域の供給力として期待できる最大容量です。設備の銘板出力をそのまま登録する数字ではなく、送電端の出力、所内消費、外気温などの能力低下、電源種別ごとの算定方法を反映します。蓄電池では、kWだけでなく継続時間、使用可能なkWh、SOC、補機消費、劣化をそろえて確認します。

期待容量は『将来、系統へ出せる供給力』
OCCTOは期待容量を、電源等情報として登録した設備容量のうち、実需給年度に供給区域の供給力として期待できる容量と定義しています。容量市場が取引するのは発電・放電した電力量そのものではなく、必要なときに供給力を出せる状態の価値です。
設備容量が機器の最大能力を示していても、発電所内・蓄電所内で使う補機電力、温度条件、自家消費などを差し引くと、連系点から系統へ提供できる容量は小さくなることがあります。期待容量は電源種別ごとの様式へ必要事項を入力し、公式の算定方法に従って求めます。
設備容量・期待容量・応札容量を分ける
設備容量は発電設備や蓄電設備が持つ能力の基礎となる値です。長期脱炭素電源オークションでは、発電端の設備容量から所内消費などを控除した送電端の設備容量を起点に、制度へ参加できない容量や各種の能力低下、調整係数などを反映して期待容量を算定します。
登録した期待容量は、オークションで応札できる最大容量です。応札容量は期待容量の範囲内で設定できるため、三つの数字が常に同じになるとは限りません。応札後には、応札容量の算定に使った期待容量等算定諸元一覧の登録も必要です。
| 用語 | 意味 | 実務で確認すること |
|---|---|---|
| 設備容量 | 設備が持つ能力の基礎となる容量 | 発電端か送電端か、所内消費を含むか |
| 期待容量 | 実需給年度に供給力として期待できる最大容量 | 電源種別、月別出力、調整係数、継続時間 |
| 応札容量 | 期待容量の範囲内で実際に入札する容量 | 提供可能な月別供給力、運用余裕、契約責任 |
蓄電池はPCSのkWだけでは決まらない
蓄電池の期待容量算定では、各月の発電可能電力と、満充電時にその出力をどれだけ連続して維持できるかを確認します。OCCTOの2026年度長期脱炭素電源オークション資料では、エリア名、月別の発電可能電力、月別の連続発電可能時間などを入力し、期待容量が自動計算されます。
たとえばPCSが2MWでも、電池の使用可能容量が不足する、補機消費が大きい、高温時に出力制限がかかる、制度適用期間中の劣化で継続時間を守れないといった条件があれば、2MWをそのまま期待容量とは置けません。機器仕様、系統接続条件、保証曲線、運用条件を同じ前提でそろえる必要があります。
- ✓連系点で系統へ送れる送電端出力
- ✓電池の使用可能容量とSOCの上下限
- ✓充放電損失、補機・空調の消費電力
- ✓温度、経年・サイクル劣化、出力制限
- ✓月別の発電可能電力と連続発電可能時間
算定前に集める設備資料
期待容量等算定諸元一覧へ数字を入れる前に、どの資料を根拠にしたかを追える状態にします。PCS定格、電池容量、補機負荷、変圧器損失、系統連系の出力上限、温度特性、劣化保証が別々の版になっていると、算定と見積の前提が一致しません。
長期案件では、初年度だけでなく制度適用期間中に同じ期待容量を扱えるかも確認します。増設・交換を前提にする場合は、その費用、停止期間、保証条件、調達可能性まで事業計画と整合させます。
メインオークションと長期脱炭素電源オークションで様式を混ぜない
期待容量という用語は容量市場のメインオークションと長期脱炭素電源オークションの両方で使われますが、対象年度、参加要件、提出様式、継続時間の条件は同じとは限りません。過年度や別オークションのExcelを流用せず、応募する年度の公式ページから最新版を取得します。
2026年度長期脱炭素電源オークションでは、OCCTOが10月8日に安定電源の登録様式を差し替え、蓄電池・揚水・LDES向けの期待容量等算定諸元一覧と補足説明を公開しています。ファイル名だけでなく更新日と変更履歴を確認します。
よくある質問
Q.設備容量と期待容量は同じですか?
A.同じとは限りません。期待容量は、設備容量のうち実需給年度に供給力として期待できる最大容量で、送電端、所内消費、能力低下、電源種別の算定方法などを反映します。
Q.期待容量を登録すれば、その全量で応札する必要がありますか?
A.期待容量は応札できる最大容量です。OCCTOの2026年度長期脱炭素電源オークション資料では、その範囲内で応札容量を設定できます。
Q.補修停止分は期待容量から差し引きますか?
A.2026年度長期脱炭素電源オークションの補足説明では、補修等による出力減少分は期待容量算定で差し引かず、容量停止計画を提出するとされています。応募するオークションの最新資料で確認してください。
POINT
この記事のまとめ
期待容量は、設備容量のうち将来の供給力として期待できる最大容量であり、応札容量の上限になります。蓄電池はPCSのkWだけで決めず、送電端、使用可能kWh、連続時間、SOC、補機消費、温度・劣化を公式様式でそろえて算定します。
参考にした一次情報
本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
本記事の文章・図表・構成の著作権は運営者に帰属します。無断転載・複製・再配布はできません。引用や利用についてはコンテンツ利用条件をご確認ください。