日本橋一丁目で電気・熱の街区供給開始|CGS1万5600kW、AIで30時間先を予測

三井不動産と東京電力EPが日本橋一丁目で始めた電気・熱供給を解説。CGS、排熱利用、蓄熱、複数回線受電、AI運転の設備構成と需要家の参考点を整理します。

三井不動産と東京電力エナジーパートナーは2026年10月8日、東京・日本橋一丁目の再開発街区に整備した『日本橋一丁目エネルギーセンター』が9月30日に竣工し、10月1日から電気と熱の供給を始めたと発表しました。大型コージェネレーションシステム(CGS)2台、冷凍機、蓄熱槽、複数回線受電、AIによる需要予測を組み合わせます。公表値のCO₂約25%削減は、供給先の建物が個別に電気・熱設備を持つ場合との比較です。

都市街区のエネルギーセンターから複数建物へ電気・冷熱・温熱を供給するイメージ
※イメージ画像
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電力2万4000kW、冷熱125GJ/h、温熱97GJ/hを供給

エネルギーセンターは、東京ミッドタウン日本橋のメインタワー『日本橋野村三井タワー』内に設置されました。供給対象は新築建物だけでなく、2004年竣工の日本橋一丁目三井ビルディング、1930年竣工の日本橋野村ビルディング旧館を含む街区全体です。供給対象面積は約3万8000㎡、対象延床面積は約47万8000㎡とされています。

主要設備は7800kWの大型CGSが2台、ターボ冷凍機、熱回収型冷凍機、排熱投入型蒸気吸収式冷凍機、蓄熱槽、蒸気ボイラです。発電だけでなく、CGSの排熱から冷水・温水・蒸気をつくり、街区の冷暖房へ回します。

日本橋一丁目エネルギーセンターの公表概要
項目公表内容設備計画で見る点
電力約24,000kWCGSと系統受電の役割分担
冷熱約125GJ/h冷凍機・排熱・蓄熱の運転順序
温熱約97GJ/h温水・蒸気需要との整合
CGS7,800kW×2台熱需要を含む総合効率と冗長性
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排熱回収と蓄熱で、電気・熱を別々に考えない

CGSは都市ガスで発電し、その排熱を冷暖房や蒸気へ利用します。熱回収型冷凍機は冷水と温水を需要に応じてつくり分け、蓄熱槽は需要の少ない時間につくった冷温水を需要の大きい時間へ移します。設備単体の効率ではなく、街区の時刻別電力・冷熱・温熱需要を重ねて運転する構成です。

発表では、各建物が個別に電気・熱供給設備を持つ場合と比べ、街区全体のCO₂排出量を約25%削減できるとしています。実績値ではなくプロジェクト側の比較評価であり、算定期間、排出係数、実際の負荷構成によって結果は変わります。今後の運用実績や算定条件も確認が必要です。

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AIが30分ごとに30時間先まで電気・熱需要を予測

運用には東京電力EPのAI活用型エネルギーマネジメントシステム『EMSTEP』を導入します。再エネの発電予測、DR要請、電力需給、電気・熱需要などを分析し、30分ごとに30時間先まで需要を予測して、設備の運転計画を自動作成・実行すると説明しています。

重要なのは予測精度そのものだけではありません。CGS、冷凍機、ボイラ、蓄熱槽は起動停止時間、最低負荷、保守、燃料・電力価格などの制約があります。実運用では、予測が外れた場合の補正、手動介入、保守停止時の代替運転まで含めた制御設計が設備価値を左右します。

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BCPは複数回線受電と中圧ガスCGSを組み合わせる

受電は複数回線とし、一部回線が使えない場合に別回線から受電できる構成です。系統停電時は、中圧ガスの供給が続くことを条件に大型CGSで発電し、街区内の公益施設にも電力を供給するとしています。防水扉などプラントの浸水対策も盛り込まれました。

一方、発表資料に停電時の供給継続時間、全負荷を賄える範囲、燃料停止時の代替手段は示されていません。需要家が参考にする際は、『非常時も供給できる』という表現だけでなく、優先負荷、運転可能時間、燃料と補機、ブラックスタート、定期試験の条件まで仕様化する必要があります。

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工場・複合施設が参考にできる三つの視点

この事例をそのまま単一工場へ当てはめることはできませんが、電気・熱・BCPを別々の投資として扱わない点は参考になります。特に蒸気、温水、冷水の需要が年間を通じてある施設では、排熱を使い切れる時間帯と量がCGSの成立性を大きく左右します。

  • ✓電力デマンドだけでなく、冷熱・温熱・蒸気を同じ30分または時間軸で把握する
  • ✓CGSの発電効率だけでなく、排熱を使える季節・時間帯を評価する
  • ✓平時の省エネ運転と、停電時の優先負荷・燃料・復旧手順を別条件で検証する
  • ✓複数設備の自動制御では、予測誤差と保守停止時の代替運転を定める

POINT

この記事のまとめ

日本橋一丁目エネルギーセンターは、1万5600kWのCGS、冷凍機、蓄熱槽、複数回線受電、AI運転を組み合わせ、約47万8000㎡の街区へ電気・熱を供給します。需要家が参考にする際は、公表された削減率だけでなく、時刻別の熱需要、排熱利用率、停電時の供給範囲、燃料継続条件、予測外れへの対応まで確認することが重要です。

REFERENCES

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