SPD(Surge Protective Device)は、雷や開閉動作で生じる一時的な過電圧を制限し、PCS、接続箱、計測・通信機器を保護するサージ防護デバイスです。避雷針のように直撃雷を受ける設備ではなく、外部LPS、等電位ボンディング、接地、配線と組み合わせて使います。太陽光の直流回路では、最大システム電圧と故障時の安全機能に適合する専用品を選びます。

SPDと避雷設備は役割が違う
NEDOは、太陽光設備の雷害対策を、受雷部・引下げ導線・接地で構成する外部LPSと、等電位ボンディング・SPDなどで構成する内部LPSに分けています。外部LPSは直撃雷などの流入を防止・軽減し、内部LPSは機器間の電位差や電路へ入る雷サージを抑えます。
SPDだけを追加しても、直撃雷を完全に防げるわけではありません。建物の避雷設備、架台、接地、DC・ACケーブル、通信線を含む雷電流の経路を確認して、保護範囲を決めます。
| 対策 | 主な役割 | 確認対象 |
|---|---|---|
| 外部LPS | 直撃雷を受け、雷電流を安全に流す | 受雷部、引下げ導線、接地 |
| 等電位ボンディング | 設備間の危険な電位差を抑える | 架台、盤、接地系統 |
| SPD | 侵入するサージ電圧を制限する | DC、AC、通信・計測回路 |
| 配線・遮蔽 | 誘導ループと結合を小さくする | 正負極の経路、金属管、シールド |
DC・AC・通信線を別々に確認する
太陽光設備には、アレイからPCSまでの直流回路、PCSから受変電設備までの交流回路、日射計・監視装置・防犯カメラなどの通信回路があります。サージは電力線だけでなく通信線からも侵入するため、一方だけを保護すると機器間に電位差が生じる場合があります。
既設PCSや接続箱にSPDが内蔵されているか、外付けSPDとどう協調するかをメーカー資料で確認します。DC用とAC用を取り違えず、通信方式・信号電圧に合う保護も検討します。
直流SPDは最大電圧と故障時の挙動で選ぶ
NEDOは、設置場所の最大システム電圧・電流に適合し、直流回路で利用できるSPDを選ぶことを求めています。さらに、SPDが絶縁劣化したときに焼損しない機能を持つものが望ましいとしています。
AISTの技術情報は、SPDの電圧防護レベルを被保護機器のインパルス耐電圧以下にし、最大連続使用電圧、放電電流、LPSの有無、リード線の電圧降下を考慮するよう示しています。数値だけを単独で選ばず、PCS・接続箱・モジュールの仕様と保護協調を確認します。
- ✓DC・AC・通信の回路種別と最大使用電圧
- ✓最大連続使用電圧Uc、電圧防護レベルUp、放電電流
- ✓外部LPSの有無と想定する雷電流・保護クラス
- ✓PCS・接続箱の内蔵保護素子と外付けSPDの協調
- ✓短絡・劣化時の切離し機能、表示、交換部品
- ✓設置環境の温度、IP等級、盤内温度と保守スペース
配線ループとSPDの接続長を小さくする
雷サージ対策は、SPDの型式だけでなく配線で性能が変わります。NEDOは、同じストリングの正極・負極を離して大きなループを作らず、短絡防止に配慮しながら近接して配線するよう示しています。AISTも、誘導ループ面積を小さくし、金属管やシールドを使う考え方を示しています。
SPDから保護対象と接地までの配線を長く引き回すと、リード線のインダクタンスによる電圧上昇が加わります。盤配置、接地経路、ケーブル入口を設計段階で決め、施工後は図面と現物を照合します。
接地は感電保護と雷保護を混同しない
太陽光設備の接地には、感電保護、PCSなどの機能接地、雷害保護という異なる目的があります。すべてを抵抗値の低い一点へ無条件にまとめるのではなく、メーカー指定、法令、等電位ボンディング、雷電流の経路を合わせて検討します。
既設建物へ太陽光を追加する場合は、避雷設備とアレイの離隔、架台・盤のボンディング、SPDの接地、受変電設備側の避雷器・SPDを接地系統図へ反映します。接地抵抗だけで保護性能を保証しません。
表示確認だけでなく、交換条件を決める
SPDはサージを繰り返し処理すると劣化し、切離し表示が出る製品があります。目視表示、遠隔接点、PCS・監視装置の警報を点検項目へ入れ、雷雨後や異常停止後は接続箱、PCS、通信機器を含めて確認します。
交換時は同じ外形だけで選ばず、回路方式、電圧、極数、保護クラス、バックアップ保護、接地、メーカー指定を再確認します。停止・開放後も太陽光の直流側には電圧が残るため、測定・交換は有資格者が手順と保安規程に従って行います。
POINT
この記事のまとめ
太陽光設備のSPDは、雷サージを制限してPCSや接続箱を守る装置です。直撃雷対策の代わりではありません。DC・AC・通信線を分け、最大電圧、保護レベル、外部LPS、等電位ボンディング、配線ループ、接地、点検・交換まで一つの雷保護計画で確認してください。
参考にした一次情報
本記事は各社・公的機関が公表した情報をもとに、一般的な検討ポイントを独自に整理・解説したものです。掲載組織との提携・推奨関係を示すものではなく、個別案件の設計・法令判断を代替しません。設備条件や最新制度は案件ごとにご確認ください。
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